近年、ジュエリー業界で注目を集めている「ラボグロウンダイヤモンド(ラボダイヤ)」。
その名前を聞いたことはあっても、具体的にラボグロウンとはどのようなものなのか、天然ダイヤモンドと何が違うのか、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ラボグロウンダイヤモンドとはどんなものか、基本的な知識から、天然ダイヤモンドとの違い、メリット・デメリット、そして後悔しない選び方まで、専門的な視点を交えながら分かりやすく解説します。
ラボグロウンダイヤモンドとは「Lab(研究所)」でできたダイヤモン
ラボグロウンダイヤモンドとは、その名の通り「ラボラトリー(Lab)=研究所・実験室で」「育てられた(Grown)」「ダイヤモンド(Diamonds)」のことです。「人工ダイヤモンド」と呼ばれることも。
科学の力で地球の奥深くにあるマントルと同じ高温高圧の環境を再現し、炭素から生成されます。天然ダイヤモンドと全く同じ成分・性質を持つ、れっきとした本物のダイヤモンドです。

違いは「生まれた環境」だけ。天然は地球のマントルで数十億年かけて生成されるのに対し、ラボグロウンは実験室で数週間〜数か月で育てられます。
ラボグロウンダイヤモンドの生成プロセス
生成方法には主に「CVD法(化学気相蒸着法)」と「HPHT法(高温高圧法)」の2種類がありますが、いずれも高度な科学技術を用いて作られます。
また、その成り立ちから「合成ダイヤモンド」や「人工ダイヤモンド」と呼ばれることもありますが、これはプラスチックやガラスで作られた模造石とは全く異なるものです。
ラボグロウンダイヤモンドは偽物なのか?
結論から言うと、ラボグロウンダイヤモンドは偽物ではありません。物理的、化学的、そして光学的特性が天然ダイヤモンドと完全に同一であり、100%炭素の結晶でできています。
その信頼性は国際的にも認められており、米国の連邦取引委員会(FTC)は2018年に「ダイヤモンド」の定義から「天然」という文言を削除しました。
これは、ラボで生成されたものであっても、科学的にダイヤモンドである以上、それを「ダイヤモンド」と呼ぶことを公式に認めたことを意味します。
鑑定機関が発行する鑑定書にも「Laboratory-Grown Diamonds(研究所で育てられたダイヤモンド)」と明記され、その品質が保証されています。
ジルコニアやモアサナイトとは異なる
ダイヤモンドの代替品としてよく名前が挙がる「キュービックジルコニア」や「モアサナイト」と、ラボグロウンダイヤモンドは根本的に異なります。
- キュービックジルコニア:二酸化ジルコニウムを原料とする「模造石」です。安価ですが、硬度が低く傷がつきやすいため、ダイヤモンドのような永遠の輝きは期待できません。
- モアサナイト:炭化ケイ素からなる人工石です。ダイヤモンドよりも輝きが強い(ファイアが強い)という特徴がありますが、その輝きがギラギラと感じられることもあり、成分もダイヤモンドとは異なります。
- ラボグロウンダイヤモンド:成分も特性も天然ダイヤモンドと同一の「本物のダイヤモンド」です。
もしあなたが「ダイヤモンド」そのものの輝きや価値を求めているのであれば、選ぶべきはラボグロウンダイヤモンド一択と言えるでしょう。
ちなみに、人気ブランド「スワロフスキー(Swarovski)」は、クリスタルガラスを使用しています。
ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドの違いはある?

ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドは、見た目や成分、輝きにおいて全く同じものですが、その成り立ちや価値にはいくつかの違いがあります。ここでは、両者の違いを分かりやすく比較し、解説します。
| 項目 | 天然ダイヤモンド | ラボグロウンダイヤモンド |
|---|---|---|
| 成分 | 炭素 | 炭素(同じ) |
| 硬度 | 10 | 10(同じ) |
| 輝き | 同じ | 同じ |
| 生成期間 | 数億年 | 数週間 |
| 価格 | 高価 | 天然の約30%〜50% |
| 資産価値 | あり(希少性に基づく) | 低い(供給可能) |
| 環境負荷 | 高い(採掘が必要) | 低い(エコ) |
原石の「形」が異なる
カット・研磨される前の「原石(ラフ)」の状態では、両者の形に明確な違いが見られます。
- 天然ダイヤモンド:地球内部で形成されるため、多くはピラミッドを2つ合わせたような八面体の結晶で産出されます。
- ラボグロウンダイヤモンド:生成方法によって形が異なり、CVD法では板状や直方体、HPHT法ではサイコロのような立方体になるのが一般的です。
もちろん、研磨されてしまえば同じ美しい形になりますが、この原石の形の違いは、両者の「生まれ方」が根本的に異なることを示しています。
不純物が極めて少なく、純度が高すぎる
ダイヤモンドの品質を評価する上で「不純物」は重要な要素です。実は、天然ダイヤモンドの約98%には、結晶化する過程で窒素が微量に含まれています。この窒素の存在が、ダイヤモンドに特有の温かみやわずかな黄色味を与えています(専門的には「Type Ia」と分類)。
一方、ラボグロウンダイヤモンド、特にCVD法で作られたものは、管理された環境で成長するため不純物を極限まで排除することが可能です。その結果、天然では全ダイヤモンドの2%未満しか存在しないと言われる、窒素をほとんど含まない極めて希少な「Type IIa(タイプツーエー)」に分類されるものが多くなります。
この「純度が高すぎる」という特性は、圧倒的な透明感と輝きを生み出す大きなメリットです。一部の専門家からは「人工的で冷たい輝き」と評されることもありますが、一般的には「最高級の透明感を持つダイヤモンド」と捉えられています。
価格が天然ダイヤモンドの約30%〜50%
ラボグロウンダイヤモンドの最も大きなメリットの一つが、その価格です。品質が同等であっても、天然ダイヤモンドに比べて約30%から50%ほどリーズナブルな価格で手に入れることができます。
これは決して「質が悪いから安い」わけではありません。価格差の理由は、天然ダイヤモンドにかかる莫大な採掘コスト、複雑な流通過程での中間マージン、そしてブランド料が、ラボグロウンダイヤモンドにはほとんどかからないためです。
つまり、ダイヤモンド本来の価値に見合った「適正価格」であると言えます。
希少性と資産価値(リセールバリュー)
資産としての価値を考える場合、両者には明確な違いがあります。天然ダイヤモンドは地球が生み出す有限の資源であり、その希少性から将来にわたって価値が保たれやすく、「資産」としての側面を持ちます。
対して、ラボグロウンダイヤモンドは理論上、生産し続けることが可能です。そのため、供給量が安定しており、希少価値は生まれにくく、売却時の価格(リセールバリュー)はあまり期待できません。
この違いから、ラボグロウンダイヤモンドは「投機や資産」として所有するのではなく、純粋に「ジュエリーとして身につけて楽しむ」という目的に最適なダイヤモンドであると言えるでしょう。
天然とラボグロウンは、基本的に肉眼で見分けることは不可能
最も気になる「見た目の違い」ですが、プロの鑑定士がルーペを使って観察しても、ラボグロウンダイヤモンドと天然ダイヤモンドを肉眼で見分けることは不可能です。
その識別には、窒素の含有量などを分析する特殊な装置が必要となり、結晶の成長パターン(グローイングパターン)の違いを調べることで初めて判別できます。
そのため、ジュエリーとして身につけている際に、見た目でラボグロウンダイヤモンドだと気づかれる心配はまずないでしょう。
ラボグロウンダイヤモンドのメリットとデメリット
ここまでの内容をふまえると、ラボグロウンを選ぶ良さは、予算の中で理想の見た目や条件を整えやすいことです。
一方で、婚約指輪として長く身につけるものだからこそ、事前に知っておきたい注意点もあります。
メリットとデメリットでシンプルに整理してみましょう。
| 観点 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 見た目と条件 | 同じ予算で大きさや品質の選択肢が広がりやすい | 比較軸が分からないと選びにくいことがある |
| 品質 | 条件が読み取りやすく、選び方が整理しやすい | 販売店や説明の質に差が出ることがある |
| 価値観 | 環境や社会への配慮と相性がよい | 考え方は人によって受け止めが分かれる |
| 将来価値 | 使うための満足度を重視しやすい | 資産価値や売却を目的にすると期待しにくい |
| 周囲の理解 | 選ぶ理由を言葉にできると伝えやすい | 人工という言葉の印象で誤解される場合がある |
| 市場の広がり | 海外では選ぶ人が増えている | 日本では流通や認知がまだ発展途上な面もある |
こうして見ると、ラボグロウンは向いている人にはとても合理的で、納得しやすい選択肢です。
ただし、資産価値の考え方や周囲への説明など、あらかじめ整理しておくほど安心して選べます。
メリットとデメリットをもう少し詳しく知りたい方は、こちらの記事で分かりやすくまとめています。

後悔しないラボグロウンダイヤモンドの選び方

ラボグロウンダイヤモンドの魅力が分かったところで、次に気になるのは「どう選べば良いのか」という点でしょう。
ここでは、後悔しないための具体的な選び方のポイントを4つご紹介します。
基本の「4C」は天然と同じ基準で選ぶ
ダイヤモンドの品質評価の国際基準である「4C」は、ラボグロウンダイヤモンドでも全く同じように適用されます。
- Carat(カラット): 重さ(大きさ)
- Color(カラー): 色の等級
- Clarity(クラリティ): 透明度(内包物の有無)
- Cut(カット): 研磨の技術
これらの基準を参考に、ご自身の予算や好みに合わせて選ぶのが基本です。一つ特筆すべき点として、ラボグロウンダイヤモンドは原石の価格が比較的安価なため、重量を少しでも多く残すためにカットの質を妥協する、といった必要がありません。
そのため、カットグレードは最高評価である「Excellent」や「Ideal Cut」のものが標準的に多く流通しているというメリットがあります。
鑑定書は「IGI」か「GIA」の発行したものを
ダイヤモンドの品質を客観的に証明するのが、第三者機関が発行する「鑑定書(グレーディングレポート)」です。これは人間でいう戸籍のようなもので、信頼できるラボグロウンダイヤモンドには必ず付いています。特に以下の2つの機関が発行した鑑定書であれば、世界的に信頼性が高く安心です。
- IGI(International Gemological Institute): ラボグロウンダイヤモンドの鑑定において世界最大のシェアを誇り、最もスタンダードな鑑定機関です。
- GIA(Gemological Institute of America): 天然ダイヤモンドの鑑定における世界的な権威であり、ラボグロウンダイヤモンドの鑑定も行っています。
購入の際は、必ずどちらかの鑑定書が付いているかを確認しましょう。また、鑑定書には「Laboratory-Grown」という表記が明確にあるかもチェックする重要なポイントです。
ラボグロウン特有の「色味(ニュアンス)」を確認する
4Cの「カラー」評価が高いものであっても、生成方法に由来するごく微細な色味(ニュアンス)を持つ個体が存在することがあります。これは品質の良し悪しというよりは、個性とも言えるものですが、知っておくとよりこだわりの一石を見つけられます。
- ブルーニュアンス: HPHT法で生成されたダイヤモンドの一部に見られる、わずかに青みがかった色味。これは、生成過程で微量のホウ素が混入することに起因します。
- ブラウンニュアンス: CVD法で成長速度を上げて生成した場合などに、ごくわずかに茶色みがかって見えることがあります。
信頼できる優良なブランドでは、こうしたニュアンスカラーの石は検品の段階で弾かれることがほとんどです。しかし、相場より極端に安い価格で販売されているものを選ぶ際は、こうした色味の有無も確認すると良いでしょう。
「As Grown(アズ・グロウン)」という選択肢
よりピュアなダイヤモンドにこだわりたい方には、「As Grown(アズ・グロウン)」という選択肢もおすすめです。
これは、ラボで生成された後に、色味を改善するためのいかなる処理(ポストグロース・トリートメント)も施されていない、「生まれたままの状態」のダイヤモンドを指します。
生成されたままの姿で最高の品質基準をクリアしている証であり、「処理を施していない、より天然に近い状態のピュアな石」を求める方にとっては、非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。
ラボグロウンダイヤモンドは婚約指輪としてはありえない?
ラボグロウンダイヤモンドを婚約指輪に選ぶのは、ありえない選択なのでしょうか。大切な贈り物だからこそ、世間の目や相手の気持ちが気になって、不安になるのも自然なことです。
ただ結論としては、ラボグロウンを婚約指輪に選ぶこと自体は十分にありな選択肢です。海外では選ぶ人が増えており、日本でも少しずつ選択肢として知られるようになってきました。
とはいえ、気になるのは本当に本物なのか、耐久性はどうなのか、周りにどう見られるのかなど、納得のポイントは人それぞれです。
そうした不安や誤解、後悔しないための考え方は、別記事で分かりやすく整理しています。迷っている方は、あわせて読んでみてください。

おすすめのラボグロウンダイヤモンドブランド3選

品質、デザイン、信頼性の観点から、初めてラボグロウンダイヤモンドを選ぶ方にもおすすめできるブランドを3つ厳選してご紹介します。
LUMERA(ルメラ)
品質と透明性を追求する、未来へ続くジュエリー
- 最高グレード(VVS2 / ID / EX / EX)を厳選
- 0.3ct以上はIGI(国際宝石学研究所)の鑑定書付き
- オンオフ問わず使いやすい、シンプルで長く寄り添うデザイン
「LUMERA」は、ラボグロウンダイヤモンドと日本の職人技を掛け合わせ、気負わず日常に馴染む上質な輝きを提案するジュエリーブランド。
LUMERAは、光を意味するLumenと時代を意味するEraから生まれた、ラボグロウンダイヤモンドジュエリーのブランド。透明感のある輝きと、日本の職人による精緻なクラフトマンシップを軸に、確かな上質さと日常での纏いやすさを両立したジュエリーを届けます。
ダイヤは最高グレード(VVS2 / ID / EX / EX)を厳選し、0.3ct以上はIGI鑑定書付きです。
PRMAL(プライマル)
日常に寄り添う、ミニマルなデザインが魅力
国内のラボグロウンダイヤモンドジュエリーブランドの代表格である「PRMAL」。
“Minimal, Neutral, Timeless”をコンセプトに、日常のファッションに溶け込むような、シンプルで洗練されたデザインが特徴です。
初めてのラボグロウンダイヤモンドジュエリーとして、まずは気軽に試してみたいという方や、普段使いしやすいアイテムを探している方におすすめです。
SHINCA(シンカ)
老舗の信頼感と、受け継がれるクラフトマンシップ
京都で100年以上の歴史を持つジュエリー企業が立ち上げたブランド「SHINCA」。
長年培われてきた宝飾品への審美眼と確かな職人技を背景に、ラボグロウンダイヤモンドという新しい素材の可能性を追求しています。
伝統と革新が融合した、信頼感を重視する方にぴったりのブランドです。
本物の輝き。ラボグロウンダイヤモンドという選択肢
この記事では、ラボグロウンダイヤモンドの基本から、天然ダイヤモンドとの違い、そして選び方のポイントまでを紹介してきました。
ラボグロウンは、天然の代用品や妥協ではありません。実験室で育てられた「本物のダイヤモンド」であり、輝きや硬さといった性質はダイヤモンドそのものです。そのうえで、今の時代に合う魅力も備えています。
- 美しさ: 天然の高品質なものと並んでも見劣りしない、澄んだ輝き。
- 価格: 予算の中で、理想の大きさや品質に手が届きやすい選択。
- 倫理観: 環境や社会への配慮を含めて考えたい人にとって、納得しやすい選択。
美しさ、価格、そして価値観。そのすべてにおいて、現代を生きる私たちにフィットするラボグロウンダイヤモンド。
まずはそのピュアな輝きを、ぜひ一度ご自身の目で確かめてみてください。




