LUMERA運営は、2026年1月14日(水)〜17日(土)に開催された国際宝飾展に参加し、ラボグロウンダイヤモンドに関するセミナーを聴講しました。
印象に残ったのは、ラボをめぐる状況が想像以上のスピードで動いていることです。一方で、結婚や婚約といった人生の節目では、合理性だけでは割り切れない価値観が根強いことも、データと議論の両面から示されていました。
ここでは、セミナーで語られた要点を整理し、いまラボグロウンダイヤモンドがどこに向かっているのか、その現在地をまとめます。
セミナーで語られたラボグロウンダイヤモンドのいま「大粒・高品質・価格低下」

まず大きな変化として挙げられていたのが、大粒化と高品質化です。
ラボグロウンダイヤモンドは以前から選択肢として存在していましたが、近年はより大きいサイズが動くようになり、品質面でもDカラーやIFクラスといったハイグレードが普通に語られる段階に入ってきた、という話でした。
つまり、ラボは安い代替品という単純な位置づけから、見た目やスペックの幅が一気に広がるフェーズに進んでいます。
もう一つが価格の下落です。数年前と比べて天然ダイヤモンドとの価格差が広がり、手が届きやすくなっているのは確かな流れとして共有されていました。消費者にとっては、予算の制約がある中でも見た目の選択肢を増やせる、という意味で分かりやすい変化です。
ただし、ここで面白いのは、天然とラボが単純に対立しているわけではない点です。セミナー内でも、「地球の奇跡 vs 人類の革命」という印象的な対比が提示されましたが、これは両ダイヤモンドの優劣を決める言葉というより、価値の成り立ちが違うことを象徴する表現として受け取るのが自然だと感じました。変わらない価値の側に天然があり、変わる選択肢の側にラボがある。いま起きているのは、その選択肢が増えたという時代の変化といえるでしょう。
婚約指輪は天然派がまだ多数派だけれど…
婚約指輪の文脈では、天然志向が依然として強いとのことでした。直近で結婚した20〜39歳への調査では、天然にこだわった人が6割以上という紹介があり、Z世代へのヒアリングでも、婚約指輪は天然が良いという回答が多数派とのこと。
理由として挙がっていたのは、輝きやサイズといったスペックではなく、約束の証、一生の思い出、特別といった意味の価値です。婚約指輪は宝飾品である前に、物語を背負うものになりやすい。だからこそ、合理性やコストだけで置き換えが進みにくい、という整理がしっくりきました。
そしてもう一つ、意外に大きいのが認知の壁です。セミナーでも、ラボはそもそもあまり知られていないという前提が語られていました。知られていないものは比較の土俵に上がりにくい。結果として、婚約という重要な意思決定の場では、慣れ親しまれた天然に寄りやすい、という構図が透けて見えます。
ラボグロウンダイヤモンドは伸びている場所が違う?

ではラボグロウンダイヤモンドは伸びていないのかというと、セミナーの結論はそうではありませんでした。伸びている場所が違う、という見立てです。婚約よりも、普段使いのジュエリーやファッション用途で受容が広がりやすい。実際、Z世代のヒアリングでも、婚約指輪としてのニーズは限定的でも、ファッション用途ならアリが多いという紹介がありました。日常に取り入れられるラグジュアリーな選択肢としての拡大が起きている、という整理です。
さらに、日本市場は世界より浸透が遅れているという見立ても示されました。裏を返せば、日本ではこれから知る人が増える余地がある、ということでもあります。加えて、同棲の増加や物価高といった生活環境の変化により、婚約指輪そのものが売れにくくなってきたという体感も共有されていました。そうした環境下では、低価格なラボをきっかけにプロポーズ文化が回復すれば、天然とラボの両方に追い風になり得る、という見通しも語られています。
ラボグロウンダイヤモンドは、天然の代わりになるかどうかだけで語ると見誤りやすい。むしろ、ダイヤモンドジュエリーの入口を広げる役割を持ちうる、というのがセミナー全体を通した含意だったように思います。
変わらないものに価値がある。変わるものに未来がある。
天然ダイヤモンドには、長い時間が育んだ物語と、揺るぎにくい価値があります。一方でラボグロウンは、技術によって選べる幅を広げ、これまで手が届きにくかった輝きやサイズ、品質を、より多くの人に開いていく存在です。
これからのダイヤモンドは、どちらが正しいかではなく、贈る理由や身に着けるシーン、価値観に合わせて自分たちの正解を選ぶ時代へ進んでいくのではないでしょうか。
LUMERA運営としても、その選択肢が健やかに広がり、ダイヤモンドがもっと自由に、もっと身近に楽しまれる未来を前向きに見ています。
セミナー概要
・セミナー名:天然ダイヤモンドVSラボ育成ダイヤモンド
・進行統括:石田 茂之
・登壇者:深澤 裕/大畠 勝彦/滝野 順/鈴木 晃司(敬称略)
・進行統括:石田 茂之(略歴)
ダイヤモンド取引の現場経験を経て、日本初のダイヤモンド専門商社社長に就任。2023年に株式会社PERFECTを始動し、日本グロウンダイヤモンド協会代表理事も務める。

